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さて、自分の子には、
「思いやりのある優しい子に育ってほしい」
「人の気持ちを考えられる子になってほしい」
これは、多くのお父さん、お母さんが願っていることではないでしょうか。では、子どもの中に「思いやりの心」を育てるために、親は何をしてあげればいいのでしょう。
「お友だちには優しく」
「困っている人がいたら助けてあげようね」
そう言葉で教えることも、もちろん大切です。でも、その前にもっと大切にしたいことがあります。それは、
私は、この安心感こそが、子どもの優しさや思いやりを育てていく土台になるのではないかと考えています。
そこで今回は、そのことを「心のコップ」と「愛情の水」にたとえながら、家庭でできることを考えてみたいと思います。
1.思いやりのある子を育てる「心のコップ」と愛情の水
ここでは、子どもの心を、一つの「コップ」にたとえてみましょう。そして、お父さんやお母さんから受け取る愛情を「水」だと考えてみます。
「大好きだよ」
「今日も元気でいてくれてうれしいよ」
「頑張ったね」
そんな日々の言葉や触れ合いによって、子どもの心のコップには少しずつ「愛情の水」が注がれていきます。やがてコップがいっぱいになると、
「自分は大切にされている」
「自分は愛されている」
という安心感が子どもの心に育っていきます。そして、自分の心が満たされているからこそ、今度は周りの人にも優しさを向ける余裕が生まれてくるのではないでしょうか。お友だちが困っていたら、
「大丈夫?」
と声をかける。
誰かが失敗しても、
「そんなこともあるよ」
と言える。自分のお菓子を、
「一つあげる」
と分けてあげる。こうした思いやりは、「優しくしなさい」と何度も言われたから身につくものだけではありません。
自分が受け取った優しさを、今度は誰かに渡している。
そんなふうに考えてみると、子どもの優しさを育てる第一歩は、まずその子自身の心を満たしてあげることなのかもしれません。だからこそ、
「もっと優しい子にしなければ」
と焦る必要はありません。まずは家庭を、
「自分はこのままで大丈夫」
と思える場所にしてあげる。そこから始めてみませんか?
2.親子のコミュニケーションで「愛情の水」を注ごう
では、子どもの心のコップを満たすためには、特別なことをしなければならないのでしょうか。決してそんなことはありません。高価なおもちゃを買ったり、毎週どこかへ連れて行ったりしなくてもいいのです。愛情の水は、むしろ何気ない日常の中にあります。たとえば、
「おかえり!」
と笑顔で迎える。
子どもの話を「うん、うん」と聴く。
一緒にご飯を食べる。
ふざけて一緒に笑う。
幼い子なら、ギュッと抱きしめる。
「大好きだよ」と伝える。
そんな一見すると何でもない時間が、子どもにとっては大切な親子のコミュニケーションになります。特に幼いお子さんであれば、抱きしめたり、手をつないだりといった、本人が心地よく感じるスキンシップも大切にしてあげたいですね。そして、もう一つおすすめしたいのが、
「何かを一緒にすること」
です。
一緒に料理をする。
一緒にお風呂を洗う。
一緒に絵本を読む。
一緒に散歩する。
何をするかは、それほど重要ではありません。子どもにとってうれしいのは、
「大好きな人と同じ時間を過ごしている」
ということだからです。忙しい毎日の中で、何時間も子どもだけに時間を使うのは難しいと思います。だから、10分でもいいのです。家事をしながらでもいい。
「今日はどんなことがあった?」
と子どもの世界に少しだけ関心を向けてみる。その小さな積み重ねが、親子の信頼関係を少しずつ育てていきます。
3.子どもの話を聴くことが「安心して帰れる場所」をつくる
学校や幼稚園から帰ってきた子どもが、
「今日ね、こんなことがあってね!」
と話し始めることがあります。そんなときは、可能な範囲で、
「うんうん」
「それでどうなったの?」
「そうだったんだね」
と聴いてあげてください。いえ、お忙しいのは重々承知しています。そしてここで大切なのは、すぐに正しい答えを教えることではありません。子どもが、
「自分の話を聴いてもらえた」
と感じられることです。たとえば、
「今日、友達とケンカした」
と言われたとき、
「あなたにも悪いところがあったんじゃない?」
とすぐに結論を出すのではなく、
「そうか。それは嫌だったね」
と、まず気持ちを受け止めてみる。それだけでも、子どもの安心感は違ってきます。大人だって同じですよね。辛いことがあったとき、すぐに正論を言われるより、
「そうだったんだ。大変だったね」
と聴いてもらえるだけで、心が軽くなることがあります。子どもも同じです。外の世界で嫌なことがあったとしても、
「家に帰れば、自分の話を聴いてくれる人がいる」
と思える。家庭がそんな「安心して帰れる場所」になれば、子どもはまた明日、外の世界へ一歩を踏み出しやすくなります。そして、愛情は言葉だけで伝わるものでもありません。
家族で囲む食卓。
洗濯された洋服。
温かいお風呂。
「おやすみ」と声をかけてもらえる毎日。子どもにとっては、そんな当たり前の日常そのものが、
「自分は大切にされている」
というメッセージになることがあります。
まとめ
「思いやりのある子に育ってほしい」
そう願うと、私たちはつい、
「人には優しくしなさい」
「お友だちを大切にしなさい」
と、子どもに何かを「教える」ことを考えてしまいます。でも、その前にできることがあります。
それは、まず目の前の子どもの心を愛情で満たしてあげることです。
「あなたが大切だよ」
「あなたの話を聴きたいよ」
「失敗したって大丈夫だよ」
「あなたの味方だよ」
そんなメッセージを、言葉や表情、触れ合い、そして毎日の暮らしを通して伝えていく。すると少しずつ、子どもの「心のコップ」に愛情の水がたまっていきます。そして、コップからあふれた水が、今度は友達や兄弟姉妹、周りの人への優しさになっていく。そう考えると、
「優しい子に育てなきゃ」
と肩に力を入れなくてもいいのかもしれません。今日、5分だけ子どもの話を聴いてみる。
「大好きだよ」と伝えてみる。
一緒に笑ってみる。それで十分です。
完璧な子育てではなく、「ここに帰ってくれば大丈夫」と思える家庭をつくること。その安心感こそが、子どもがこれから長い人生を歩いていくための、大切な心の土台になっていくのではないでしょうか。
それでは、ありがとうございました!

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