「勉強」と聞くと、多くの人は机に向かい、教科書とノートを広げる姿を思い浮かべるのではないでしょうか。
もちろん、その時間はとても大切です。しかし私は、これまで子どもたちの学習を見てきた中で、
「勉強は机の上だけで完結するものではない」と
強く感じています。そして、子どもの学力を伸ばす家庭には一つの共通点があります。
それは、
勉強の時間だけが学びではありません。何気ない会話や、家の中の工夫が、子どもの知識や興味を大きく育ててくれるのです。今回は、家庭ですぐに取り入れられる「どこでも学びの場所になる」という考え方をご紹介します。
隙間時間と「ながら空間」を賢く活用する
先日、電車の中でスマホアプリを使い数学を勉強している高校生を見かけました。
ほんの10分ほどの乗車時間でしたが、その表情からは「時間を無駄にしない」という強い意志が伝わってきました。
昔は参考書や問題集を持ち歩くしかありませんでしたが、今はスマートフォン一つで英単語や計算問題、歴史の一問一答まで学べる時代です。
5分という短い時間でも、毎日積み重なれば年間では何十時間もの学習時間になります。
実際、教育心理学でも「短時間でも繰り返し触れること」は記憶の定着に効果があるとされています。家の中にも、こうした「学びのチャンス」はたくさんあります。
例えばトイレ。
日本地図や世界地図、ことわざ、四字熟語などを貼っておくだけでも、毎日自然と目に入ります。大切なのは、「覚えようとしない」ことです。人は、何度も目にする情報ほど親しみを感じるようになります。
「覚える」のではなく、「見慣れる」。
この積み重ねが、あとから学校で習ったときに「あ、この前見た!」という感覚につながります。あと、お風呂もおすすめです。湯船につかってリラックスしている時間は、親子でゆっくり会話ができる貴重な時間でもあります。都道府県を当てるクイズをしたり、「今日はどこを覚えようか」とゲーム感覚で取り組んだりするだけでも、子どもは楽しみながら知識を増やしていきます。
リビングでの「親子の会話」から思考力を育てる
私が家庭学習で特におすすめしたいのが、「リビング学習」ならぬ「リビング会話」です。テレビの横に地図帳を置いておく。たったこれだけでも、家庭の会話は大きく変わります。
旅行番組で北海道が映れば、
「北海道ってどこ?」
「寒いからどんな食べ物が有名なんだろう?」
「海が近いから海産物が豊富なんだね。」
こうした何気ない会話が、地理の知識になります。さらに、
「昔から港町として栄えたんだね。」
「だから外国との交流も盛んだったんだ。」
というように歴史へ展開できますね。あるいは、
「どうして雪が多いんだろう?」
から気候の話題へ。一つの疑問から、さまざまな教科へ自然につながっていきます。私が子どもたちを見ていて感じるのは、成績が伸びる子ほど「なぜ?」という質問が多いということです。知識を詰め込むよりも、「知りたい」という気持ちを育てること。そのきっかけは、家庭での何気ない会話に隠れています。
「歴史漫画」で丸暗記の壁を乗り越える
「歴史(社会)は暗記科目」
そう思っている方は少なくありません。確かにその一面もあります。私自身もそう思っています。実際、年号や人物名を何度書いても覚えられず、テスト前になると苦労した記憶があります。しかし、大人になって歴史漫画を読み返してみると、「歴史は物語だったんだ」と気づきました。例えば織田信長。名前だけ覚えるのではなく、
「どんな時代を生き、何を考え、どんな決断をした人物なのか」
まで知ると、一人の人間として記憶に残ります。漫画は人物の表情や服装、町並みまで描かれているため、映像として記憶に残りやすいのです。また、中国史に興味を持つきっかけになったのは、横山光輝先生の『三国志』でした。最初は娯楽として読んでいましたが、その後、小説や史実にも興味が広がり、気が付けば何度も読み返していました。「好き」という感情は、最高の学習エンジンです。子どもが歴史を好きになる入口として、漫画は非常に優れた教材だと思います。
まとめ
勉強は、机に向かっている時間だけではありません。通学途中、食卓、お風呂、リビング、テレビを見ている時間。
日常のあらゆる場所に、学びのきっかけは隠れています。私が子どもたちを指導する中で実感しているのは、「勉強が得意な子」よりも、「学ぶことを楽しめる子」の方が、長い目で見ると大きく伸びることが多いです。だからこそ、家庭では「勉強しなさい」と言う回数を増やすより、「これ面白いね」「どうしてだろうね」と一緒に考える時間を増やしてみてください。その積み重ねが、子どもの知的好奇心を育て、やがて自ら学ぶ力へとつながっていきます。
今日からぜひ、ご家庭の中に「小さな学びの種」をまいてみませんか?きっと数年後、大きな花を咲かせてくれるはずです。
それでは、ありがとうございました!

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